ソロバン(Abacus)

不定期コラム Vol.564
2002/01/27作成


  ゼロの発明   計算尺

計算機についての歴史を追っている訳ですが、計算についての
サイトは既に色々あるので、ここでは基本的に紹介を中心に
行っていく予定です。凄いサイトが幾つもありますので、興味が
あれば覗いてみてください。

「数える」ということからについては、下記が詳しいです。
http://www.shoeisha.com/book/pc/20c/
 ソフトウェアの20世紀
 http://www.shoeisha.com/book/pc/20c/chap00/tec1.htm
  序章 コンピュータ以前
   ■指と壁の傷 ■紐による数の記録 インカ帝国で発祥したとされるキープ、沖縄の藁(ばら)算
    digital(ディジタル)の名詞形digit(ディジット)とは指のこと。これが10進法のルーツ

   ■小石とテーブル  計算器具の起源は、紀元前の中東で用いられたアバカスだと言われている。
     計算のために用いた小石はcounter(カウンター)と呼ばれた。 
     ギリシア語で小石をカルクリ(calculi)という。「計算」を意味するcaluculateの語源である。



算盤(ソロバン)は日本固有のものだと思っていたのですが、同じような
ものは海外でも中国やローマで古くから存在しました。

ソロバンは英語では"Abacus"、または日本語そのままで"Soroban"です。

http://www.syssrc.com/html/museum/mechcalc/abacus/index.html
 Mechanical Calculators The Abacus
  によれば、abacusは「計算板または計算台」"calculating board" or "calculating table"を
  意味するギリシャ語の"ABAX"から来ています。上記サイトでは算盤を
  「最初のコンピュータ」と評してもいます。

海外のサイトでは下記が割と画像等が揃っています。
http://www.ee.ryerson.ca:8080/~elf/abacus/
 The Abacus Index
  http://www.ee.ryerson.ca:8080/~elf/abacus/history.html
   The Abacus History
    上記、ソロバンの歴史、のページでは
"The difference between a counting board and an abacus"として、
カウンティング・ボードとソロバンの差異について触れています。

カウンティング・ボードは玉、小石あるいは金属板を、溝が刻まれた、あるいは線が描か
れた木、石あるいは金属の上で動かすというものです。
そろばんは、マウントされた自由に滑る玉を備えた棒を保持する構造がある装置です。


 http://www.soroban.com/museum/index.html
  そろばん博物館
   では、ローマそろばんを見ることができます。

そのサイトで書かれているソロバンの歴史を翻訳ツールで簡単に和訳してみました。
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最も古い残存するカウンティングボードはサラミスの島に1899年に発見された、紀元前
300年頃、バビロニア人によって使用された「サラミス・タブレット」です。

そろばんの発展は3つの時代に分割することができます。古代、中世および現代です。
ギリシアとローマ時代の現存するカウンティングボードは石、金属から成っていました。
中世では木製で、水平に線を引いた計算台でしたが、書面による算術の発展でソロバン
は徐々に廃れました。

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下手な和訳では何ですから、日本語の説明を探したのが下記です。
http://www.onocci.or.jp/occi/trad-ind/soro/rekishi.html
 そろばんの歴史

そろばんの起源
 古くメソポタミア時代(紀元前3000年代)に遡ることができる。その頃は、粘土板に線や
 記号で数を表していた。 ローマ期の「溝そろばん」は、板に溝を堀り珠を動かして計算
 するものであった。中世時代に入って、テーブルに線を引き「計算台」としていた。この
 計算台がカウンター(カウント=計算する)と呼ばれる由来とされている。


http://www.unshudo.co.jp/soroban/c/c01.html
 タータンチェックとそろばん
中世ヨーロッパでは、碁盤目の上に小石を並べて簡単な計算を行う[線そろばん]が使われていました。
携帯に便利なように、布地の上に描かれた碁盤目がチェックデザインの源流と言われています。
なお、当時はゼロや位取りの概念は少なく、計算するのは線そろばんで、記録する為にはローマ数字の
ような演算の概念の無い数字が用いられていました。



http://www.rs.kagu.sut.ac.jp/~infoserv/museum/si/sangu.html
 東京理科大学 算具
中世のヨーロッパでは、縞模様のタータン・チェックの布の上に、
ジュトンと呼ばれる模造コインを置いて計算したり、ジョン・ネービアの考案
による乗除算を加減算で行う算具が広く使われた。さらにアメリカでは、イン
ディアンが動物の骨に沢山の穴をあけ、この穴にピンを刺して計算する算具が
使われている。

 このサイトでは古い算具の画像を見ることができます。


続きを和訳してみましょう。
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私たちが今日それを知っているような「そろばん」は西暦1200年頃中国に現れました。
それは"suan-pan"と呼ばれました。西暦1600年始めに、中国のそろばんは、朝鮮経由で
日本に伝わり発展しました。日本語では「そろばん」と呼ばれました。初期のクリスチャン
が東洋へそろばんを持って来たことは考えられます(中国の算盤とローマの手そろばんの
垂直の方向に操作する点が似ているので)。

最近の考古学によると、西暦900-1000年頃、アステカのそろばんがありました。これは
木枠上でに張られた糸にトウモロコシの核が通されてできています。

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シルクロードを通じて古代の東西文明が交流していたことは事実ですし。
一般的には、古代中近東起源、ローマ経由で中国に伝わったように見られているようです。

http://www.onocci.or.jp/occi/trad-ind/soro/rekishi.html
 そろばんの歴史
  では、古代中国と日本での歴史について詳しく触れられています。

それによれば、紀元前1000年頃には古代の周で天文書や数学書があったそうです。
ただし、当時使われていたのはソロバンではなくて、「算木と算盤」という計算器具です。
その後、漢の時代から唐にかけて「算盤」の形態が完成された、とあります。

http://www.rs.kagu.sut.ac.jp/~infoserv/museum/si/sangu.html
 東京理科大学 算具
紀元前1100年に出版されたといわれている中国の算術書『周髀算經』には
“算盤”と“算木やぜいちく”を用いる計算法が記されている。この計算具は
奈良時代にわが国に導入され、そろばん以前の計算具として19世紀後半まで
利用された。また、沖縄では“ばら算”と呼ばれる藁で作った算具が使用された。
 このサイトでは古い算具の画像を見ることができます。

http://www.rs.kagu.sut.ac.jp/~infoserv/museum/si/soroban.html
 東京理科大学 そろばん
わが国で使用されている“そろばん”の原型は、中国で作られたものである。
現在、中国のそろばんの最古の資料は、1056年頃出版された『盤珠集』、『走
盤集』にある。中国では天2珠、地5珠の物が作られ、現在もなおこの型のも
のが一般に使われている。中国からわが国に導入された時期は、室町時代中期
とされている。導入後は様々な形に改造されその種類は4000種以上に及ぶ。
わが国では一般に天1、地4珠のものが使用されている。

 このサイトでは古いそろばんの画像を見ることができます。

日本に何時算盤が伝わったかについてはっきりとした証拠は無いようです。
万葉集に九九が収録されていたりするので、算数・算木は民間交易や遣唐使等を
通じて伝わっていたようです。中国との交易は鎌倉、室町時代に元や宋との間で
行われていますので、時期的にはこの頃伝わっているのでは、という観測があります。
ただ、一般的には日本の算盤は長崎算盤の形態を受け継ぐといった表現もありますので
室町時代に対明交易で渡来したように思われます。

日本の古代からの歴史について触れたサイトとしては
http://www5a.biglobe.ne.jp/~spgas/oaa/kei/k2.htm
 計算機の歴史 U(割り算九九について)
  などもあります。


本題の「日本の算盤」について見てみましょう。

http://www.yatsuhashi.co.jp/soroban.htm
 日本のそろばんの発祥の地 追分の宿について    では、
  明の時代に日本の長崎に伝来してから広まりました。
  日本では千六百年代のはじめに東海道追分の宿で初めて製造されました。
  中国・日本での初期の算盤は、最初は上玉が2ツ、下が5ツ玉でした。日本
  では明治十二年(1879)以降、上玉が1ツになり、さらに昭和十三年(1938)以降
  は下が4ツ玉になりました。
     とあります。
  昭和13年の変更は学童教育用に4ツ玉に変更されたためのようです。


豊臣秀吉の三木城攻めで大津に避難した住人が算盤の製造技術を学んで
三木に戻り、播州算盤はまずは三木で発達したようです。その後、小野に
中心が写り、今では兵庫県小野市(播州そろばん)と島根県島根県仁多郡
横田町の雲州算盤の2つの産地で作られています。二つの産地の割合は
ちょっと判らなかったのですが、横田町のホームページでは日本一と唄って
います。あまり本筋には関係無いので、この件は放置してあります。

http://www.kougei.or.jp/soroban/at1104-a01.html
 播州そろばんの魅力
  によれば、上質の木材と、その木材を加工するための刃物の産地が
  近いことが発展を産んだようにあります。この二つの条件は同じく
  大産地の雲州(島根県)でも当てはまるようです。

播州と並ぶ雲州算盤の歴史はどうでしょうか。

http://www.joho-shimane.or.jp/dentou/soroban/index.php3
 雲州そろばん 沿 革
http://fish.miracle.ne.jp/us88/mondou.html
 そろばん問答
http://www.emerald-c.net/basket/detail/93990742025614.html
 雲州そろばん伝統産業会館

  約160年前に当地に住む大工が広島産のそろばんを見て作ったのが始まりだそうです。
  播州算盤よりはずっと後のようです。

小野算盤の歴史のサイトでは日清戦争の後、水車動力によって珠を大量
生産する仕組みが導入され、さらに雲州算盤の技法が導入されたことで
飛躍的に伸びた、という記述があります。


中国の算盤と日本の算盤の差異について触れた記述は
特に珠の形に関しては無いようです。

http://www2.famille.ne.jp/~wata-yuu/m_cal/h105_2.html
 日本の機械式計算機の歴史
1. 機械式計算機以前
   中国のソロバンが、室町時代頃日本に伝わり江戸時代に普及しました。日本のエン
   ジニアは速い計算に使えるように、鋭い角を備えた珠と、細い軸で構成する形に改良
   しました。


http://homepage2.nifty.com/101iwasaki/page016.html
 そろばんの歴史 IWASAKI ABACUS SCHOOL
  そろばんの発達
   日本人はそのそろばんを使ううちに、五玉を1個にしたほうが便利だと
    気がつきました。今から,100年ほど前になると、五玉が1個のそろばん
    を使う人が多くなりました。
    昭和13年になると、全国の小学校では4年生からそろばん学習が必
    修になりました。このとき文部省は児童用のそろばんを制定しました。
    このそろばんは五玉が1個で、一玉が4個、そして定位点(ていいてん)を
    4桁区切りにしました。
    その他に玉の形をスマートにしたりして、日本のそろばんはとてもシン
    プルな形になりました。

というページがありましたので、日本の算盤は日本で色々と
改良されたもののようです。

有名なトモエそろばんのサイト
http://www.soroban.com/index_jp.html
 TOMOE Soroban
  http://www.soroban.com/museum/index.html
   そろばん博物館
    では古い時代のソロバンや変わったソロバンを見ることができます。


なお、前回、「ゼロ」について触れましたが、算盤と位取りに
ついて説明されたページがありましたので、紹介しておきます。

http://www.unshudo.co.jp/soroban/img/x.html
 雲州堂
  http://www.unshudo.co.jp/soroban/c/c01.html
   そろばんの歴史
   人類は長い間、様々な形態のそろばんによって計算を行い、その結果を記録する為にのみ
   数字を用いてきました。漢数字やローマ数字・ギリシャ数字は主に記録を目的としていました。
   数字に位取りの概念が入る為には、[ゼロの発見]が必要であった。[ゼロ]は5世紀頃のインドで   
   発明されたが、その後アラビアを経てヨーロッパへ伝わったが、一般に普及するのは14世紀になる。
   そろばんでは、紀元前に使われ出した[位取りの概念]が、数字として利用されるようになるまでに、
   何千年という年月が必要だったのです。
   0から9までの10個の数字の反復使用だけで、膨大な量を表わすことができる[位取り記数法]の
   概念は、実はそろばんから生まれたものだったといえるでしょう。



小学校の算数で円周率が3.14から3になったり、九九を教えない
方向で進んでいるようですが、本当に大丈夫なのでしょうかねぇ。
確かに電卓は便利ですが、試験に計算機を持ちこめるようになる
訳ではないでしょうし、算盤必須は元に戻した方が良いと思います。
九九もできないのでは日本の明日が心配です。

http://www.tbs.co.jp/ac/on_web/idea0004.html
 教える内容を3割減&週休完全2日制』
 あなたは新学習指導要領に具体化されている『ゆとり教育』に賛成ですか?反対ですか?
http://www.syuzan.net/topicnew/newszadan/newszadan.html
 教育改革を機に 見直そう”ソロバン”の効用



  ゼロの発明   計算尺

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