ThinkPad品質向上署名贈呈と後日談

不定期コラム Vol.26
2000/05/17更新

2000/05/12 六本木のIBM本社での署名手渡しとディスカッション、場所を
代えての懇談会に参加しましたので、簡単な報告をします。

ディスカッション
私が質問、要望した事を中心に記憶にあるうちに公開してまずくなさそうな
ことにについて触れます。担当者の個人的見解と言えそうなものもあり、IBM
を代表しての回答という訳ではないので、そんな雰囲気だったよ、という感じ
にしてください。細かく議事録を取っていた訳ではないので。ここで書かれて
いる事を根拠にIBMにねじ込むような事はご遠慮ください。

なお、結構IBMでは若手の方がブランドマネージャをされているのに驚き
ました。また、ブランドマネージャのような方がわざわざ出てきて頂いた事を
感謝します。


[Q]グローバルスタンダードの名の元に、品質が日産のゴーンが進めているよ
  うな過剰品質を排し、品質を落としてコストダウンを図る方向でやったため、
  TP240の初期不良が続出したのでは?

[A]世界には色々な基準がある。品質は日本だし、電波(電磁波?)については
  欧州等が厳しい。色々な面での一番厳しい基準に合わせて作っている。


[Q]ThinkPad Qualityは落ちているのでは?

[A]昨年頃からトップの方針で強く言われているのは環境と品質の2点。チェッ
  クは強化している。車のような人命に直接影響するものではないのでPCには
  リコールという制度はない。IBMとしては顧客のデータの保全に影響がある場合、
  及び、スモーク(発煙等)の場合はあらゆる手段を使って告知、対応する。
  過去にAptivaでHDDへの書きこみでデータが破損するケースがあったのがこの
  ケースだが、顧客側が自分でドライバを更新できているケースもあり、逆に騒ぎ
  過ぎで心配した、という逆のリアクションも起きている。この辺の兼ね合いを考慮
  中である。ただ、情報の公開を進める上からも、将来的にはIBMの持つ技術的
  情報を順次公開していくつもり(例えば特定のルーターのどのBIOSで障害を確認
  しているとか。IBMは国内家電メーカーほどの対コンシューマーのノウハウが無い
  からそこらへんは課題。私はインターネットでのサポートを進める上で、各種障
  害情報もオープンにされていく方向にあると判断しました。既に記憶も不鮮明化し
  つつあるので、後はIBMの実際の動きに期待、ですね。


[Q]TP240の一連の障害はどこまで伝わっているのか
[A]プロダクトマネージャーのところまで数字としてあがっている。品質、カスタマーの
  満足度という点には力を入れている。

  障害に遭われた方にはあやまるしかない。
  (実例としてHDDやキーボードの交換が繰り返された例が挙げられた質問の後)


[Q]B5クラスの存続は?

[A]従来はJapan Unique(ユニーク)だった。徐々にJapan Firstという見方が
  IBMの大もとの方にも伝わってきている。TP240は米でも売れたので、この
  TP240を大事に育てたい(TP245については話は特になし)。


[Q]日本IBMのダウンロード・サイトの機種漏れチェックの充実、特に535系を!
  マトリックスを作ると抜けているものがある。
[Q]TP390シリーズのドライバ対応の仕方(後継モデル用のドライバ、ユーティ
  リティが出ても、まるでiSeriesのように更新されない)

[A]検討(開発後のメンテナンスの対応についてあれこれと。略)


[Q]TP i SeriesのNT対応は

[A]TPiは基本的には製品発表の時の状態しかサポートしない。この後、開発
  コストの問題等々。未対応のOS、対応OSについては、世の中の数々有る
  OSの問題、法務関係がらみ等々。TPiシリーズとTPのユーザー層の差等も。


[Q]NTT OCNパックの製品のサポートは? 425等IBMのサイトに情報も無い。

[A]特注製品に付いては表に出さないことに従来なっている。ただ、PC部分に
  付いてはIBMのサポートとなっている。ダウンロードサイトの機種対応の問題
  等検討(してくれるような感じ)。


[Q]HDDの8.4GB超対応の見とおしを駄目なら駄目と明言しては、BIOSのUPDATE
  の説明でもHDD関連の説明はTP600系のLinux対応の問題を除けば皆無。
[Q]HDDに関する説明は意図的に避けているのでは

[A].......(明確にどのように返答されていたかが思いだせません)


[Q]WEBサイトでの情報公開が米IBMに比べて劣るので改善を

[A]米国以上のものを目指して、従来より公開姿勢を強化しつつある。
  インターネット上でのユーザーサポートの強化の準備とかも。


[Q]MwaveのLinuxサポートとかは?
  情報があればドライバーを誰かが書いてくれるのだと思うのだが。
[A]パテント(特許)がらみのものは公開が難しいものもある。
  昔のPC/ATのようにBIOSのソースまで公開する、といった訳にはいかない。
  MwaveについてはDSPなのでリソースキットがあればできると思う。
  ただ、そのリソースキットの入手が面倒というのはある。
  (一般的な話として)情報公開は進める方向


全体的には、「こだわり」と「わりきり」という言葉を頻繁に用いて回答して
頂きましたので、少なくともTPがTPである証、黒いボディカラーと赤いトラッ
クポイントはTPでは堅持していただけそうな印象を持ちました。18:00ちょっと
過ぎから20:00まで白熱(といって良いと思います)したディスカッションでした。
まぁIBM吊るし上げというのではなく、多分に親睦的な雰囲気ではありました。




懇談会
20:30頃から場所を別に移して懇談会となりました。
ここでの話は余計やばい話が多いのでちょっと書けません。常時接続時代に
向けた戦略、某S社との比較、銀パソの可否、保守的法人ユーザーと個人ユ
ーザーの志向性の差、国内営業と販売サイドの問題、対 米IBMとの調整、
アウトソースの問題とか、苦労話が色々でした。

ここでばらすと次回の開催といった、そういう話があったとしても腹を割った
本音のトークができなくなる可能性が高くなってしまいそうなので胸の内に留
めておきましょう。


総括
全体的に友好的な雰囲気でした。IBMというのは世界に広がる巨大な会
社ですので担当者も内外調整で苦労しているのが窺い知れましたが、TP
を愛する気持ち、TPへのこだわり(割り切りは人によって様々でしょう)は
ユーザーも担当者も一緒のようなので、今回のインパクトがいずれは製品
やIBMの対応に反映することを期待して終わりたいと思います。各参加者
の皆さん、楽しい時間をありがとうございました。主催者の方、IBMの関係
者の方、お疲れ様でした。


(以下は5/17に追加した個所です)

後日談
内容をめぐってすったもんだし、登録したり削除したりと毎分のようにこの
原稿をどうしようかと悩んでいましたが、一時燃えていた時期があった事の
証として残しておく事にします。最終的にはTPユーザーが増えるのが私の
目標なので。

とは言え、今ではすっかり醒めちゃいました。
とりあえずIBMに対しては言いたいことを言ったのは事実、これで改善
されなければ、相変わらずここで吼え続けるだろうし、トラックポイント
ある限り、ノートパソコンは他のメーカーに乗り代える事は難しいです。
デスクトップ系で意趣返しといくかもしれません。

あちゃこちゃのドタバタのせいで常用メールアドレスの変更もしました。
思考が多方面同時連想連動型なので、色々とリンクしちゃいました。
今までのbato_hm@hotmail.comは業者との連絡専用に格下げです。
使い方要注意というところです。あのアドレスで特定の業者以外に発信
することは、もうないでしょう。本来、あまり表に出ない方がいい職業だし。
黒子、影の存在であるべきなんです。でしゃばりはそのうち痛い目に遭う
かもしれません。どこまで本業、どこまで趣味か、を問われると、きつい
です。好き勝手してるから。もっとも仕事だけなら、ここまで続かないの
も、また真実。

今後、今回と同様の催しがあっても傍観します。達観というか、サバサバ
した気持ちです。切り捨て、切り替えが速いのも特技ですし、黙ってばっ
さり切るのもよくやります。今は某能無しプリンターの販社が危ないかな。
にっこり応対するけど商売は別だよーんてな具合。でもThinkPadは切れ
ません。仕方ありません、惚れた弱みですね。メカを愛して人を愛せない
危ない性格がよく出ています。

IBMとのミーティングに関しては、確約が取れた訳ではないし、向こうの
担当者の意気を確認しただけ、というのが収穫と言えれば収穫です。
あの時のこちらの熱気を向こうが感じてくれて、例えば日本IBMのダウン
ロードサイトに535のファイルが登録されたりすれば、一応目に見える成
果が出てきたと言えますが、品質向上に繋がったかどうかは、なかなか
判りにくいはずです。WEB会議室にしろ、今度始まるようなインターネット
でのサポートでも目に付くのはクレームばっかりかもしれません。

でも、あの時のブランドマネージャーの意気を信じます。対社内、対 
米IBM等、色々と障壁はあるでしょうけど、クリアしていけることを
信じています。

今回のディスカッションは団交という訳ではなく、口から泡を飛ばして議論
した訳ではありません。出席された方の中には物足りなかった方もいるとか
聞いています。そういう方はまた機会があったら、今度はがんばって発言
してください。でしゃばって時間超過の主因になった私はいないでしょうから。

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