どうせ判る事なのよ?
不定期コラム Vol.25
2000/05/11
ノートパソコンは携帯される事が目的の製品が多く、
振動や外気温・湿度の変化、キーボードが本体と同一
ボディのため、人体に触れる事が多い、等、なかなか
過酷な環境で使用されます。
現在のThinkPad(TP)の頑丈とか保守がしっかりしている
という名声は過去からの積み重ねの結果であり、多少
揺らいではいるものの、今も他のメーカーよりはまし
だと私は信じています。
TPの信頼性、保守体制を評価しつつも私にはぜひIBMに
考慮して欲しいのが情報のオープン化、リコール的な
制度の導入です。
対象として考えているのは、最近ThinkPad Clubで話題に
なっている初期型TP600 2645-41J/51Jのバッテリーの短
寿命の件やTP535シリーズでのヒートシンクのネジ留めの
甘さです。TP240初期モデルのキーボード不具合続出も
そうです。TP240に関しては液晶のフレキシブルケーブル
の障害による画面の赤色化とかもあるようです。
PCを始めとする耐久消費財では使えば壊れていくものです
ので、どこまでがメーカー側の責任を取るべきなのかは
正直言って私には判断しにくいです。無償保証期間、ある
いは保守契約期間中であれば堂々と無償交換、修理を要求
するのですが、故障というものは大概、保証期間が過ぎて
から起きる事が多いので、それが経年劣化のせいで壊れた
のか、あるいは、最初からの製造や設計のミスのせいで壊
れたのかをユーザーが判断するのは難しいと思います。
また、例え製造ミスでの故障だとしても、無償保証期間は
もった、と言うことで免責と言えなくもないです。もうす
ぐ住宅で導入が始まるとか聞いている品質保証を取り入れ
た対応を検討してもらうのもいいかもしれません。
ユーザーの使い方は千差万別ですし、客観的な基準は設け
にくいかもしれません。
最低、修理に持ちこんだりクレームを付けたユーザーだけを
対象にこっそり修理・交換するというような事象があれば、対
象の情報をオープンにして欲しいというだけなんです。インター
ネット時代になってユーザー間の情報交換は以前とは比べよ
うも無いレベルで行われています。一部だけを対象にしている
ような情報もどうせすぐに伝わるはずです。先手を打って、と
いうのはどうでしょう。品質低下の印象を与えるマイナス効果と、
オープンな態度へのプラス効果、どちらが優位かは予想で
きませんが、一つ検討してみていただきたいものです。
通常のリコールでは新聞広告等でかなりの費用がかかりま
すので、WEBサイト上で参考情報として流すとか。ちょっと兼
ね合いが難しいですが。経年劣化の影響が起こり易いヒート
シンクの点検を無料で行います、とか、といった表現が妥当
なのかどうかは自分でも判断しにくいですけど、訴訟を招か
ない程度の、いかにもメーカーの善意が表面に出るような表
現があればいいですが。どだい無理なお願いなのかもしれま
せん。
むろんメーカーに一義的に責任を課すのではなくて、ユーザ
ーにも相応の負担をしてもらうことで、料金の高騰を防ぎ在
庫の確保もし易くなるかもしれません。爆発的に増えた個人
ユーザーの視点に立った新たな保守、サポートが必要でしょう。
今ThinkPad i Seriesにだけ適用されているコスト負担が低い
保守契約PC Careの対象を拡大するにしろ、携帯用途が多い
モデルにはそれなりに上乗せが必要でしょう。
5/12のIBMへの署名贈呈の席でそういう話ができるかどうか
は判りませんが、署名の文面には同様の内容があったよう
な気がします。時代に即した対応を各メーカーにはとって
いただきたいものです。