TP340CSE
2000/03/18作成 2002/01/01更新
画像は未撮影です。2種類が揃ってから補足します。
仕様
340CSE 2610-2JD IBM486SLC2-50 4-12MB 0.2GB
- 9.4"DSTN 2.4Kg A4 W31
KJF IBM486SLC2-66 4-12MB 0.36GB - 10.4"DSTN 2.4Kg A4 W31
2610-2JD CPU IBM486SLC2-50 L2 0
RAM 4-12MB 空1 IC DRAM
CARD
VIDEO 9.4"DSTN CL-GD6245 256色表示 VRAM 512KB
HDD 200MB 固定式 CD-ROM 無 TrackPoint3
PC Card 16bit(TypeIIIx1/IIx1)
音源 無 USB 無し IrDA 無 Modem 無
W297xD210xH49 A4 2.4kg 35W 100-240V NiMH 2.5-5h
価格 248K 発売 1995/02 OS PC
DOS6.3/V&IBM版WIN31
2610-KJF CPU IBM486SLC2-50 L2 0
RAM 4-12MB 空1 IC DRAM
CARD
VIDEO 10.4"DSTN CL-GD6245 256色表示 VRAM 512KB
HDD 360MB 固定式 CD-ROM 無 TrackPoint3
PC Card 16bit(TypeIIIx1/IIx1)
音源 無 USB 無し IrDA 無 Modem 無
W297xD210xH49 A4 2.4kg 35W 100-240V NiMH 2.2-4.4h
価格 328K 発売 1995/03 OS PC
DOS6.3/V&IBM版WIN31
概略
DOSマシンだったTP340に代わって登場した低価格なWIN31マシンを実現した
マシンです。個人でも買える価格であることを強調した広告もありました。
←同型のTP345CSの背部
340と同じく1枚しか装着できない背部のPC CARDスロット
←同じくTP345CSの底部
最大12MBまでのIC DRAM CARD方式のメモリーが拡張性のネックとなります。
←TP345CSでの開腹例
このタイプのHDD換装はキーボードをマイナスドライバー等で上に
跳ね上げられれば後は簡単です。HDD換装については ここ を
参照してください。8GB超のHDDを装着すると起動できなくなる問
題がおそらくありますので、そういう場合はDM2000の使い方の
項を参照してください。
最大メモリーの関係で速度が低下するのでWIN95はお勧めしません。
初期の頃のACアダプターで接触不良が多くPlug部の対策部品も用意
されました。なお、普及機初のTrackPoint3搭載モデルです。
他に詳細は不明ですが2610-2JT(DRM)というモデルがあるようです。
中古で使う場合、386SX互換のCPUを持つマシンでは最高のWIN31マシンです。
メモリーはジャンク扱いで店によっては安く入手できますがせいぜい12MBまで
にしかなりません。OSが仮想メモリをHDDにスワップしまくる事による速度低下は
結構響きますので、WIN95には向きません。
DOS/WIN31に最適化されたという意味では、E-IDE対応のHDD、ThinkPad共通の
ACアダプターが使用可など、素性はよいマシンです。WIN95での使用を検討して
いる場合は後継機種のTP345C/CSの方がメモリの制限が無いのでベターでしょう。
WIN95のインストールに際してトラックポイントがらみのトラブルがあるのは有名な
話です。この件に関してはTP345C/CSの項を参照してください。
ビデオドライバに関しては、こちら を参照してください。
MS版Win31のドライバは無いようです。
【年表】
95/02 TP340CSE 2610-2JD IBM486SLC2-50 ローエンド,PC CARD×1,TP3
95/03 TP340CSE
2610-KJF IBM486SLC2-66 2610-2JDのCPU強化版
上位機種でTP360CE/CSE、755CE/CDあたり、サブノートではTP230Csの
DX2-50MHz版が追加投入された頃です。TP701も最初のモデルが同時期に発表
されています。WIN95の日本語版投入は1995/10頃ですので、時代はまだまだ
DOS/WIN31の時代でした。
【製品情報】
TP340CSE http://www.ibm.co.jp/pc/thinkpad/old_tp/0466.html
95/03
2610-2JD http://www.aichi.to/~thinkpad/catalog/tp340cse/
95/02
IBMのサイトにユーザーズガイドが収録されています。保守マニュアルはありません。
http://www.ibm.co.jp/pc/home/manual/thinkpad.html
PC関連マニュアル−ThinkPad関連
http://www-6.ibm.com/jp/pc/home/manual/0012/a8855850.pdf
ThinkPad 340CSE ユーザーズ・ガイド
日本語版のオンラインで提供されているHMM(保守マニュアル)はありません。
以下は英語版の資料です。
HMM Volume 2
for the
TP340, 355, 360, 370, 700, 720, 701, 750
and 755 systems
(英語版)
tpvol2.pdf 3,716,188bytes 03-30-98
ftp://ftp.pc.ibm.com/pub/pccbbs/mobiles/tpvol2.pdf
オンライン以外の日本語のHMMは
InfoCreate(有償)で下記のものがあります。
SA88-5531-02 ThinkPad 340/345 保守マニュアル
SA88-5585-00 ThinkPad 340CSE ユーザーズ・ガイド
私のThinkPadずかん
http://www.mars.dti.ne.jp/~ayase/tp/tp340cse.htm
http://www.mars.dti.ne.jp/~ayase/tp/tp340cse_kjf.htm
○中古で買う場合
用途が12MBのメモリで動く範囲ならそれなりに良いマシンです。
画面もDSTNの割には綺麗でした。
メモリはIC DRAM CARDですが、ジャンクならそれなりに入手
できそうですし。HDDもE-IDEに対応しています。Win95で
使う場合はメモリがネックになってしまいますのでお勧めできません。
All about ThinkPad 1991-1998に書いた準備原稿の抜粋
既に入手難のAll
about
ThinkPadですが、私の担当した個所に
ついて引用します。HDDの中の準備稿からですので、実際に
掲載された内容とは違う場合もあります。また、内容も当時の
ままですので、リンク先や内容が現時点とは違っている可能性
があります。悪しからず。 (2002/01/01)
SUB:340CSEリライト原稿
ThinkPad 340CSE (2610-2JD/KJF)
ThinkPad 340CSE(型番:2610-2JD。以下、340CSEと略す)は1995年2月に発表されました。
当時のミドルレンジモデルには、1994年11月発売のThinkPad 360CE/CSE以来、DX2
50MHzが搭
載されていましたが、340CSEはIBM486 SLC 50MHzを搭載していました。次に発売されるDX4
75MHz搭載のThinkPad 370C(1995年5月)までの端境期のような時期に、ローエンドモデルの
ラインナップを埋めるべく、突然姿を現しモデルでした。
液晶ディスプレイは9.5インチDSTNカラー液晶でした。HDDは固定式でE-IDEに対応しており、
搭載されていたのは200MBでした。RAMは標準で4MB、増設はIC DRAMカードによって最大12MBま
で拡張することができました。HDDはThinkPad 340と同様、簡単に中を開けて換装することが
できました(○ページのコラムを参照)。
価格もThinkPad 340より30,000円高い248,000円という低価格におさえられ、個人ユーザー
を意識した広告が雑誌に載ったりしました。バッテリは、ThinkPad 340のNiCdとは違ってNiMHでした。
340CSEは、Windows3.1が使える低価格のカラーノートパソコンという位置付けのようでした。
1995年3月には、従来の2610-2JDに代えて2610-KJFというモデルが登場しました。これは、
CPUのクロックをIBM 486SLC2 66MHzに上げ、HDDを360MBに拡張し、液晶ディスプレイを9.4イ
ンチから10.4インチDSTNにしたものでした。その分、価格も2610-2JDより80,000円高い328,0
00円となっていました。それでも当時のThinkPadのミッドレンジのモデルThinkPad
360CSEの
値下げ後の価格と比較しても120,000円安いモデルでした。
340CSEはモデルの切り替えが比較的短期間で行われ、商品が出回った時期も短かったため、
納期に関する不満がパソコン通信上でも話題になったモデルでした。秋葉原の量販店にもA4サ
イズのノートパソコンとしては比較的数が多く出回ったものでした。筆者が秋葉原の量販店か
ら仕入れたものの中にはドライバ類のパッケージや開封の際の説明書が英語のものもありました。
Table ThinkPad 340CSEのモデル *略
○ビデオチップ
ノートパソコン搭載のビデオチップが話題になりだしたのはサブノートのThinkPad
230Csあたり
からです(それまではもっぱらWestern Digital社のWD90C26/WD90C24でした)が、340CSEでは
のちのThinkPad 530CSと同じCL-GD6245というビデオアクセラレータが使われていました。
○オプションの装着方法
バッテリ等のオプション装着方法はThinkPad 340と同じでした。
○キーボード
キーボードには[Fn]キーはもちろんのこと、TrackPoint IIの改良型のTrackPoint IIIが搭載
されていました。TrackPoint IIIには、カーソルの微妙な操作ができるようにブレーキ機能が
付加されていました。また、受注生産のようですが、英語キーボードモデルも用意されていました。
○ACアダプタ
340CSEのACアダプタの本体接続部には接触不良が起きやすいものがあったようで、
IBMからも対策用の部品が用意されていました。筆者が入手した対策パーツは、
PLUG FRU P/N 85G6664というものでした。
○謎のファイルYPTF$013.COM
工場出荷時にはAUTOEXEC.BATにYPTF$013.COMというファイルが導入されていました。
これが実行されるとWindows3.1付属のMSD.EXEがハングするという話やシリアルポートが不
調になるという話がありました。なぜ、初期状態で設定されているかについては、Windows3.1の
WIN.COMのスタックオーバーフロー(Windows内部での障害)を回避するためのドライバで、
Windows3.1を使うときに必携と書かれた紙が入っていたとか、アラビア語の文字フォントを
表示させるため、という説がありました。しかし、筆者はこのファイルなしで数十台のマシンを
Windows3.1を使ってきましたが、今までに特に不具合は発生していません。
○Windows95の使用
日本アイ・ビー・エムは340CSEをWindows95の動作確認機種にあげていますが、搭載CPUの
制約でメモリを最大12MBまでしか認識できませんので、筆者としては340CSEでのWindows95の
使用はお勧めしたくありません。下表はDOS/Windows 3.1とWindows95を比較したベンチマークです。
結果は当然というかWindows95の方が遅くなっています。
[Wintach 1.2]
[640×480×256]
Model CPU OS W.P. CAD/Draw S.S Paint OverAll
--------------------------------------------------------------------------
2610-2JD IBM486SLC2-50 Windows3.1 4.04 19.34 4.42 7.42 8.81
2610-2JD IBM486SLC2-50 Windows95 6.66 12.96 3.22 6.68 7.38
EXCELやWORD、一太郎といった最近の売れ筋アプリケーションは大量のメモリーを必要とします。
こういったアプリケーションを12MBのThinkPad 340CSEで使うと、HDDへの仮想メモリーのスワッピ
ング頻発による動作速度の低下が起こります。
電源投入後、すぐに一太郎Ver.6が起動するようにセットアップし、一太郎で文章入力が可能に
なるまでの時間をThinkPad 340CSE 2610-2JDで計ったところ、DOS/Windows 3.1で88秒、
Windows95だと約2倍の155秒かかりました。
エディターや通信(蛇足ですがInternet Explorer 4.0のような重たいソフトウェアは除きます)と
いった比較的軽いアプリケーションであれば実用になるかもしれません。遅いマシンに我慢が
できない方はWindows95にするよりはWindows3.1の方がいいと思います。結論としては用途
次第という事になります。
メモリーを物理的に増やすことはできないものでしょうか。筆者が試したかぎりでは、ThinkPad
330Csでは16MBカードを装着すると「225」というエラーコードを表示して起動すらできませんで
したが、340CSEに16MB DRAMカードを装着すると起動はできました。ただし、12MBまでしか
認識されませんでした。
Windows95で使うには苦しいマシンでしたが、Windows3.1で使ううえでは340CSEは最高
のコストパフォーマンスを提供してくれたマシンでした。
なお、Windows95のサポートやバッテリ関係の不具合に対応したBIOSがパソコン通信等
で配布されていました。NIFTY SERVEであれば<未来電子環境研究所> FIBMFEELという
フォーラムのDL7:日本IBM製品情報ライブラリにある
#170 HPJT05 .LZH TP340CSE/345/370 BIOS V1.40 がそれです。
○国際保証
PCハードウェア国際保証対象製品(1年)でした。
*HDD換装に関するコラムはTP345C/CSの項に収録しています。