ThinkPad 310/E,315D/EDのCPU換装


過去に分室に置いていたCPU換装の記事です。
記載したリンク先がまだ残っているかは未確認です。
最近の検索結果の反映まではちょっとお待ちください


【最終更新】2001/06/24更新


 


       ThinkPad 310Series へ


CPU
ThinkPad 310系ではSocket7対応のデスクトップ用CPUがそのまま使われ
ています。AMD K6-2等への換装実例もあります。
なお350Mhz以上のような
高クロック数のAMD K6-2をWIN95に用いる場合はMSのホームページから
AMD用のパッチを入手して適用する必要があります。詳しくはAMD、又は
MSのホームページをチェックして下さい。
http ://www.amd.com/japan/products/cpg/k623d/win95_update_k6.html
http ://www.microsoft.com/japan/win95/modules/at_711.htm

パッチ当てに付いてはCPU換装前に行っておく、あるいは、駆動周波数を
落としてパッチを当てるというやり方があるようです。
あるいはWIN98にするとかになります。



CPU換装について
最初に 事前の準備 換装に使うCPU
倍率 電圧  バスクロック
放熱対策 換装後のトラブル



最初に
以下の資料はThinkPad Clubの300系会議室の過去ログの
中のCPU換装に関する論議から集約したものです。
私自身は腕も知識も無いのでただただ驚くばかりの話
でしたから、ここの内容について一切のフォローは
できかねます。時間があれば前述の会議室のログをご自
分でチェックされる方が無難かもしれません。ログ中で
貴重な報告をしてくださったKK1氏並びに各チャレンジャー
の方に感謝します。また一連の書きこみのバックボーンに
なっている綾羅木氏のHPの再構築が進むことを期待する
ものです。

ThinkPad 310分解の手順は ここ

この件については下記のHPを照会されることをお勧めします。
KK1氏のHP     http ://www.remus.dti.ne.jp/~k-kimura/
綾羅木氏のHP  http ://www.diginoiz.net/
PONTA氏のHP  http ://www.aichi.to/~thinkpad/ThinkPad 315ed/

K6関係の情報
http ://www.tt.rim.or.jp/~s-hosono/comp/k6-2.htm
http ://www01.u-page.so-net.ne.jp/kb3/ikejima/pc/k6-2b.htm
http ://member.nifty.ne.jp/Horiguchi/tools/index.htm



事前の準備

ThinkPad 310系はレバー式のソケットではありませんが、デスクトップと
同じタイプのCPUを装着しているので、一般ユーザーでも比較的
手軽にCPUの換装が可能です。むろんCPUを換装するためにはケース
の分解等を伴いますし、メーカーによる修理の可能性も完全に失う
ことを意味しますので、今後マシンをどう使うかを含めてよく考え
てから実行してください。マシンのバラし方については、できれば
このHPのHMMの項で紹介しているようHMM(Hardware Maintenance
Manual)のThinkPad 310のものは事前にダウンロードするなりして確認して
おいた方がいいでしょう。英語版ですが、図解で何とかなると思い
ます。日本語の保守マニュアルも通販で購入可能なようですので、
これもHMMの項から辿ってみてください。

 ThinkPad 310分解の手順は ここ

英語版 ThinkPad 310 HMMのURL
ftp ://ftp .pc.ibm.com/pub/pccbbs/mobiles/310hmm.pdf
DIP SWITCHの設定は92ページ辺りから載っています。

換装する場合はBIOSを最新のものにしておく方がベターです。
BIOSをアップグレードするためには充電されたバッテリーが
必要ですので、ジャンク等でバッテリーが死んだマシンでの
改造はリスク含みになります。

BIOSのURL
ftp ://ftp .ibm.co.jp/pub/pccsvc/thinkpad/i9b024
I9B0240.EXE V1.24 (00K4779 V2.1R03A7c)




換装に使うCPU
換装に使用するCPUはIntelであればP54C/P55C、
AMDではK6,K6-2になります。AMD K6-3はオンダイキャッシュの
認識がうまくいかない、トラックポイントを動かすと即ハング
アップ、消費電力増加が悪影響を及ぼしているのでは、
という話が出ていました。ただ、ThinkPad ClubではThinkPad 310EでK6-3を
60x6で駆動中という話もあります。
ThinkPad 310系ではシステムボードが下記のように3種類ありますので
初期     ThinkPad 310,315D   2600-1/2/3/7   P5-133       11J8581
日本未発売 ThinkPad 310E,315ED 2600-4/5/6/8/E MMX133/150    05K3143
最終     ThinkPad 310E,315ED 2600-A/B/C/D/E/F MMX166(E:150) 10L0892
微妙に動作実績とかにかかわってくるのかもしれません。
BIOSやDIP SWITCHの設定は同じようなのですが。

ThinkPad ClubでThinkPad 310Dにk6-2がピンが1つ多くて装着できないと
いう話が出ていました。このピンはSocket5(320pin)と
Socket7(321pin)を区別するためとのことです。Socket5とSocket7の
大きな違いはP55C(MMX Pentium)で採用されたデュアルボルテージ
に対応しているか、です。解決策は該当のピンを折ってしまうしか
ないようです。ピンを折ったK6-2をSocket7で使えるかについては情報が
ありません。

なおCD-ROM内蔵モデルだと電源容量不足がもろに露呈するようで、
K6-3だけでなくK6-2/400(66x6)の動作も不安定という話です。
安全策を採るならK6-2、バクチ含みでK6-3というところでしょうか。
あるいは駄目な場合は他に転用できる先がある、とか。

CPUを換装する場合は電圧と倍率、バスクロックの設定を適切に
行う必要があります。デフォルトで使われているCPUは通常、
換装に使用するCPUの許容範囲以上の電圧で動いているため、
買ってきたものをそのまま挿したりすると故障する確率が著しく
高くなります。各CPUベンダーのHPでデータシートという仕様が
まとめられた資料が入手できるはずですので、換装に使うCPUの
素性についても時間があれば確認しておく事をお勧めします。

同クロックのCPUでも2.2V用、2.4V等といった動作電圧が違う
ものもあますし、初期のAMDではCPU表面のマーキングが一部
混乱していたこともあります。成否を分けるポイントでもあり
ますので慎重にやってください。素人感覚ではAMD K6-2/400の
2.2V対応品を60x6の360で駆動させるのが一番楽なような印象を
受けました。もっともx6の設定ではバッテリーが無い状態では
本体の電源が入らなかったといった話もありますので、丸っき
りトラブルフリーという訳ではないようです。



電圧


電圧はS1の4つのDIP SWITCHで行います。
スイッチの位置が判らない場合は前述のHMM等で確認してください。
実物を見ていないので、右側からなのか、左側からなのかは判りません。

電圧  SW1 SW2 SW3 SW4 実測例    CPUの例
3.1   . Off  Off  Off  On   3.14      P54CSLM-133(HMM記載)
2.9  .  Off  Off  Off  Off.  2.92      汎用Intel MMX Pentium(P55C)
      On  . Off  On  .Off.  2.683  
      On  . On   .Off ..Off.  2.518  
2.45   Off  . On   Off ..Off.  2.362    P55C-133/150/166(HMM記載)
2.35   Off  . Off  On  Off.  2.525  
     On   On   On  Off   2.3   
(2.2)   Off  On   On   Off . 2.172    AMD K6-2/400(2.2V)

実測値は過去に報告があった数値です。
左端の数字はマニュアル記載のものです。
但し(2.2)は推定値。実測例だけの場合、定義された値は不明です。
マニュアルに記載された数値と実測例の誤差をどう考えるかは
難しいところですが、各CPUの持つ許容範囲内で、かつ、限界
ぎりぎりよりは低めを選べば問題は少なくなるようです。
    
過去ログではMMX233は2.45Vの設定と2.9Vでの動作例が
あります。一般的なMMX(P55C)のコア電圧2.8Vと2.45Vの
差異は今後調べる予定ですが、奥が深そうです。P55C関係の
書きこみをあちこち調べると2.8Vより2.5Vの方が安定して
いるといったものもありますが、公式にはP55Cは2.8Vの
ようです。そういう意味ではP54Cも3.5V(VRE)、3.4V(STD)
とあって、これも3.1Vという数字は出てきません。

エーアイ出版から出ている"AT互換機のチップセット"渡邊郁郎 著
                     ISBN4-87193-693-7 \3,200(税別)
でも確認してみましたが、わかりませんでした。同書によればIntelのCPUの
場合、S-Specと呼ばれる仕様が公開されているとのことですので、時間が
あれば調べてみるつもりです。ただ実機がないのでCPU表面のマーキング
等が判らないネックはあります。

    S-Spec http ://www.developer.intel.com.design/pentium/qti/
     (現在はどこかに移動されているようです。調査中)

初期のP55C Note用(TCPパッケージ)133/150/166のコア電圧は2.45Vで
その後Note用TCPパッケージのP55C-120は2.2V、同P55C-166/200/233
で1.8V、同P55C-266/300が3Vです。これに対しPPGAパッケージのいわゆる
Socketに挿すタイプのP55Cのコア電圧は一貫して2.8Vです。

ThinkPad 315ED標準搭載のCPUはリミッター付きの特殊なものでは?、という説が
あります。コア電圧も特殊、内部倍率2.5倍固定のようです。
K6-2のような2.2V/2.4Vという具合に全く別の設定ならば いいのですが、
MMX Pentiumに換装するのであれば、ここは標準のMMX Pentium(P55C)
は特殊なのだとして、無難に2.9Vで設定しておいた方がいいかもしれません。
起動に失敗するような貧血状態が起きないのであれば電圧が低いほうが
発熱面では有利とは思いますが。

なお、ThinkPad 310のP54C(Classic Pentium)の3.1V.ですが、
日経BP社 最新マイクロプロセサテクノロジ ISBN4-8222-0926-1 \3200
にPentium(STD)が保証する動作電圧の例 3.135-3.60
             同(VRE)          3.4-3.6
             同(VR)           3.3-3.45
とあるので、スペシャル品なのか汎用なのかはちょっと見では判りません。



バスクロック
バスクロックはS3のSW1,SW2のDIP SWITCHで設定します。
実物を見ていないので、右側からなのか、左側からなのかは判りません。
スイッチの位置が判らない場合は前述のHMM等で確認してください。

       SW1 SW2
    60  Off On
    66  On  Off
    (50) On  On *推定値



倍率
倍率はS3のSW3,SW4のDIP SWITCHで設定します。
実物を見ていないので、右側からなのか、左側からなのかは判りません。

          Intelの場合         AMDの場合
 SW3 SW4 倍率  x60   x66   倍率   x60    x66
 Off  Off.  1.5   90  . 100     3.5   210   233
 Off  On   2.0  120   133    6.0   360   400
 On  . On   2.5  150   166    2.5   150   166
 On  . Off . 3.0  180   200    3.0   180   200
 Off  Off . (3.5). 210   233

*Intelのx3.5はHMMにない推測値ですが、
 233MHzで動作していたようです。
 マザーボードによってはAMDと同様のx1.5の場合もあるようです。

AMDでは通常の1.5/2.0倍が3.5/6.0倍に換算されます。
したがって比較的動作例の多いAMD K6-2/400を360MHz(60x6)で
駆動させる設定はThinkPad 310(P5-133)デフォルトと同じになります。

システムボードを外してハンダ工作等が必要なので
あまり初心者には向かないBF2のピンをGNDに落とす工作を行うと
倍率の設定は下表のように変化します。ただし加工に伴う故障の
発生や発熱の問題等のリスクも増しますので、通常はそこまで
しなくて構わないでしょう。

Normal  AMD  (60/66)  BF2処理済(60/66)
x1.5  x3.5 (210/233)  x5.5 (330/366)
x2.0  x6.0 (360/400)  x4.0 (240/266)
x2.5  x2.5 (150/166)  x4.5 (270/300)
x3.0  x3.0 (180/200)  x5.0 (300/366)


放熱対策
高速で駆動させる場合、放熱処理が最大の問題です。無理な駆
動はCPUの寿命を縮める結果にもなりかねません。標準でCPUに
付いている熱伝導シートは再利用できないようなので、改めて同様
のものを用意するか、シリコングリス等、あるいはPCカードスロット
に装着するクーリングファンという手での対応が必要です。秋葉原の
T-ZONEで売られているJUST COOLERという商品が紹介された事
がありますが、他にもあるようです。

熱の事を考えるとMMX233といったIntelのCPUよりより最近の低電圧
で動作するAMD K6-2の方を233MHzといった低速で駆動する方が
有利かもしれません。

ソフトウェアでCPUが使われていない時の速度を低下させるものが
幾つか存在します。これを使用した場合、見かけのCPU使用率は常に
100%となってしまいますが、実害は無いようです。シェアウェアを含めて
幾つかありますが、私が愛用しているのはRAINというフリーウェアです。
ただ最近はあまり見かけないので入手先は不明です。

熱の問題を考えると(超)高速なCPUへの換装も考え物かもしれませ
ん。特にビジネスといった実務系の運用ではせいぜい233MHz程度
でも従来と比較すれば十分な効果はあるはずです。


換装後のトラブル
BF2に関する話はThinkPad Clubの300系の会議室の過去ログの
中にありましたが、私の理解できる範囲外なのでここでの説明
は避けます。何らかの加工が必要なようですが、切り落とした
という方もいらっしゃるようで。keyピンを折る場合も確実に
しないと浮いている状態が起きるようだとトラブルの元のようです。

CPUがレバー式ではないため、CPUの換装にはできれば換装用の
専用工具を用意しておいた方がいいでしょう。無論先の薄い
マイナスドライバー等でもできないこともないでしょうけど、
CPUのピンを傷つけないよう細心の注意を払ってください。
また、CPUの突っ込みが浅いと電源は入るが起動できないという
現象になりますので、確実に押し込んでください。
ソケットの上板を確実に左にロックしないとうまくいかないようです。
 ←上下でロック、解除とかだった気がします。

CPU換装後の速度測定には標準のNotebookManagerやNortonUtilitiesの
SystemInfomationでは正しい数字は表示されません。実際に負荷を
かけて速度を測るタイプのベンチマークソフトを使う必要があります。
一例として
http ://www.h-oda.com/ にあるWCPUIDというソフト、あるいは
HDBENCHといった名前が挙げられています。が




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