私信


不定期コラム Vol.677
2002/04/07作成


ThinkPad Club でmskahn氏が議論提起をしているようなので
自分なりにs30/WorkPadへの惜別の辞を書いておきましょう。


まずは
http://www.thinkpad-club.com/webforum/saloonl/00817.html
From: mskahn <nospam-mskahn@ms-atelier.com>
Subject: s30/WorkPadの生産中止に思う
Date: 2002/04/07 09:47:35
 に対する返信です。

>既報の通り、s30/WorkPadが生産中止となりました。
>これらの情報に対して、皆さんの冷静さがちょっと不思議と思っているこの頃です。

  TP535/235のジャパンオリジナルモデルの差別された扱いを
  知っているだけに、もはや「諦め」です。日本IBMに「小さい」
  マシンはもはや期待できません。敢えて期待するとすれば、
  メタパッドによる着せ替えモデルですね。日本用のコンパクトな
  ボディが用意できるかもしれません。また皮ならIBM純正でなく
  ても  構わないかもしれませんし。


>s30とXシリーズの統合というのは、Thinkpadを持ち歩いて使う私にとっては残念でなりません。
>(勿論、Xシリーズを持ち歩いて使っている人もいるでしょう。)

  今は会社にPC持ち込み禁止になったので、モバイルが出来ていませんが
  休日などではX20を持ち歩いています。徒歩、バス、地下鉄での移動で
  すが、昔はTP570を持ち歩いていたので許容範囲です。下手に統合して
  これ以上X20の画面サイズが小さくなるのはご免です。表向きの「統合」
  といった綺麗事ではなくて、X2xユーザーの不安を招かないよう、s30
  路線の終了、撤退というべきでしたね。

>この思いが日に日に増してくるこの頃です。

  ご愁傷様です。

  
>こんなことを書くと、「そんなのは少数派でIBMの経営判断だからしょうがないじゃないか」と
>いう答えが返ってきそうですが、一頃の署名運動が懐かしく、熱い季節もあったなあという思いです。

  現実の品質低下、販路の縮小、VAIOへの明らかな敗退等を考えると
  モチベーションも失われます。私も脱力感は否めません。

  
>最近SONYのPalmOS搭載機(CLIE PEG-NR70)を使い始めて、SONYの開発・
>製品化への力の凄さに改めて驚いているところです。それにひきかえIBMは
>どうしたことでしょう。今は力を貯めているところでしょうか? 大爆発があるのでしょうか?

  全て過去の栄光です。時勢の流れ、です。ThinkPadというブランドが
  無くならないために、販路の縮小とビジネスモデルへの特化という
  蛸壺路線は消極的賛成です。万歳突撃ができる体力も無いでしょうし
  総合的なマーケティング力が劣るのは今回のs30のプロモーションで
  痛感したでしょうから、無駄なことは止した方がいいでしょう。
  VAIOとは視点が違います。VAIOにソニータイマーと言う伝説が残る
  限りは、その弱点をThinkPadは突くべきでしょう。またアプリ添付の
  シンプルさとかで。現状の品質、サポートは相憐れむレベルであって
  もう駄目よ、といった感じです。今から署名運動しても燃えませんね。
  醒めた、というか、諦めた、というか。ポインティングスティックを
  護るためだけにThinkPadには無謀な冒険はせず、小さくまとまって
  品物を供給し続けてくれればそれでよいです。日本IBMのWebでのサポ
  ートは元々あまり信用してなかったし、米IBMがちゃんとしていれば
  それでいいですよ。下手に初心者にやさしくしてもコスト割れでしょ
  うし、ヒント集とかもほどほでいいでしょう。


>ThinkpadのTの字も知らなかった私がThinkpad/IBMへの世界に関心を寄せるように
>なったきっかけは近所のPCショップに置いてあったThinkpad235でした。

  私の場合は古くからのIBMユーザーですので、特に思い入れがある
  訳ではありません。ただ、携帯できるトラックポイントマシンで
  あればプライベートに使いたいだけです。

  タッチパッドは色々触ってみましたが、永年使いなれたTrackPointに較べると
  使えるレベルではありません。イライラしながら使うのはできるだけ避けたい
  ところです。他人のマシンであれば構いません。会社ではどうせ外付けマウス
  が主体でしょうし。
 
  私にとってはスティク型のポインティングデバイスが全てです。ThinkPadの持つ
  他の優れた要素、堅牢なはず、サポートが良いはず、情報公開が日本独自
  モデル以外では米IBMが参考になって良い、とかは二の次です。

  そういう意味で、今はFIVAやリブレット、LOOX等を調べています。IBMでなくても、
  ポインティングデバイスの出来がトラックポイントほどでなくても、とりあえずタッチ
  パッドで無いマシンであれば構わないとかまで垣根を下げています。堅牢さが
  期待できないのであれば大事に取り扱うことでカバーします。


>IBMのブランドイメージを壊さないという意味でも小さなマシンは商売を超えて必要だと思うの
>ですが、いかがでしょうか。

  マスコミ(雑誌、Webベース)の担当者の忠誠心を失ったという意味での
  マイナス効果は多大だと思います。まぁそれもIBMが選んだのであれば
  仕方ありません。しょせんユーザーができる範囲は限られています。
  気に入る商品がお目当てのメーカーに無ければ別のメーカーを探す
  だけです。
  
  かつて国内でガリバーだったNECが、初心者にはサポートが良いという
  ことで、まぁまぁの指名買いなのに対し、リピーターに人気が無いと
  して構造改革に取り組んでいます。

  ThinkPadも熱狂的な「次もThinkPad」といったファン層によって出荷
  台数が嵩上げされていた面があるはずです。日本でのある意味での
  ウラッグシップ、「小さい」モデルを失った今、ThinkPadという「ブラ
  ンド・イメージ」は急速にその求心力を失いつつあることでしょう。
  法人向けに売れれば、という一縷の願いも、例えば購入担当者が
  ThinkPadへの忠誠を失い、呪縛から放たれてしまえば、ゴソッとDELL
  なり、VAIOへ鞍替えされてしまうことで消えてしまいます。
  
  修理体制は他社に負けないか、優れていると思っていますが、製品の
  質、壊れやすさ、放熱の仕組み等での不満を最新モデルでも聞くにつれ、
  もはやThinkPadの品質は「伝説」となってしまったのではないか、と
  危惧しています。過去は過去、今はひどいねぇーということです。

  ブランドに対する忠誠心の維持、マインドシェアの確保をIBMがどのように
  考えているのかはっきりさせて欲しいですね。まぁゴローバルスタンダード
  だから、ビジネスジャッジだからというのであれば、しょせんそれまででしょう。
  彼らが選んだ結果です。かつてThinkPad220でサブノートという新たな市場
  を開拓したIBMとは言え、もはや下手な思い入れは捨て、別の会社と考える
  べきでしょう。
  
  私が愛したThinkPadは基本的に七五三シリーズで終了と言っても
  良いでしょう。このサイトもA/T以降はほとんど触れてませんし。
  
  かつて伝説として語り継がれた凄いブランドが有ったんだと、実体験を
  語り継ぐことができることが、ThinkPadユーザーとしてやってきて
  良かったことです、という時代になりつつあるようです。
  
  というところでどうでしょうねぇ。自虐的過ぎますか?




  まぁ、かなり醒めちゃっているのは確かです。
  星野阪神のようにThinkPadで再びワクワクできればいいのですけどね。

以下、補足。

○WorkPadについて
  WorkPadはユーザーではなかったので別に構いません。黒ければ
  何でも買うというほどはのめりこんでいませんから。あの辺は
  ビジネスの仕組みとして必要なら他社から調達することで構わ
  ないと思います。もはや「黒」への忠誠心も霧散していますし。
  無駄にコストアップ要因を抱え込まなくてもいいでしょう。
  コアな部分で勝負すればいいでしょう。そういう意味ではIBMが
  PocketPCを扱ってもおかしくありません。ペン型PCも松下のOEM
  で調達していたこともありますし、枝葉の部分で自社のデザイ
  ンにあまり拘らなくてよいと思います。
  

○フラッグシップの持つ役割
  ThinkPadでフラッグシップといった場合、ThinkPad 7xxシリーズの流れを
  組むA3xpモデルが想定されます。ただ、商売的には問題があったとしても
  「小さな」モデルを出すことで、IBMが進取の精神に富んだ意欲的なメーカー
  というイメージをかもし出すことには成功していたはずです。コンサルティング
  会社の調査にどういう風に出ているかは判りませんが。

  画面が大きなモデル、大造りなモデルはどこのメーカーにでも作れます。
  そういう意味ではフラッグシップといっても他社とどれだけ差別化できる
  か不明です。逆に小さく作る技術は日本IBMがまだ他社より優れている
  点のはずです。また競争相手が少ない分、ブランドへの訴求力も強く
  できます。画面が大きく高価なモデルより比較的低価格なので、メーカ
  ーに取っては不採算かもしれません。ですが、ユーザーにとっては入手
  し易い身近な「ブランドイメージ」の塊になります。

  人をワクワクさせるモデルを失うことで、イメージだけの「堅牢」さだけが
  一人歩きし、しかもそれが幻想になりつつあるとバレた時には、一挙に
  ブランドへの忠誠は失われることでしょう。一度失った信用はそう簡単には
  回復できません。私が一度の障害で延々とソーテックやDELLを毛嫌い
  しているように。失なわれるのは一瞬で、しかも長く尾をひきます。

  今回のs30からの撤退は日本でのビジネスを考える上ではとてつもない
  失策だと私は思いますね。大量に売らなくても、ラリーの車が出場資格を
  得るために限定して出すホロモゲのような手段は無かったのか、と切に
  思います。コストダウンというなら直販限定でやればいいでしょうし。


○今後のIBMとの付き合い方
  彼らが熱い思いに応えられないのなら、いつまでも期待しても
  無駄というものでしょう。
  一つの時代は終わったのだと現実を見直して、それなりに
  突き放した態度でIBMと付き合う時期だと思います。
  The Only One of Note PC Brandでななくて、One of Note PC Brandsです。
  根詰めないでいきましょう。期待するだけ、思い入れするだけ無駄です。



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