クルーソーの話
不定期コラム Vol.160
2000/11/04更新
IBMがCrusoe搭載のミニノートの企画を断念したというニュースで
持ちきりですが、非常に残念という気持ちと、やっぱり、という
気持ちが半々です。先日の展示会でも怪しいシステムボードの展
示はありましたが、展示パネルでは省電力はCPUだけでは効果が
少ないという内容の事が書かれてましたし。
ニュースでは省電力性で思ったより効果が無いという判断との事
ですが、見方を変えて、発熱が少ない結果、放熱機構の簡素化と
かでより軽量に振っても良かったのではないか、と。CPUの高速化
と省電力は相反する問題ではあります。マーケットニーズを考え
るとどうしても高性能化の方が商売のマスとしては大きいと思い
ます。それでも軽量化+省電力ということで、最近のメモリデバ
イスの大容量化を生かして、PC110のようなATA CARDで動作する
軽量Crusoeノートというニッチ市場もあるのではないだろうか、
と夢想しちゃいますね。
クルーソーに限らず、CPUやチップセットのニュースを追っていた
ので、今回の動きも非常に気になるところです。AMDの追撃にメロ
メロ状態のインテルに、省電力と言う別の観点から大ショックを
与えたという点でトランスメタは評価しているのですが、という
のも、ノートでも高性能を追いかけるうちに、どんどん熱は出す
わ、バッテリーはもたなくなるわ、というインテルのやり方に疑
問をもっていたからです。といって、ノートではAMDのチップはあ
る程度の内部スペースがあるマシンで無いと厳しいようですし。
これで、モバイル向けのノートのシェアをトランスメタが一気に
獲得して、株上場も大成功とくれば、万々歳とくれば、映画のサ
クセスストーリーにも似て、それはそれで面白いものがあったの
ですが。もっとも私はコードモーフィングの評価が定まるまでは
様子見を決め込んでいましたので、傍観の立場だったのですが。
3ヶ月になろうかというCPUの歴史の追っかけ作業も最後の仕上げ
の段階ですが、1999年半ばでストップしています。どうしても、
その時点、その時点で興味ある方に走ってしまいますので中断状
態です。性格的に飽きっぽい短期決戦型のムラッ気が出てしまっ
ています。年内には何とか公開したいもんですね。それまでには
隣のサイト構築も一段落しているでしょうし。
今回のIBMの決断はビジネスの判断としては妥当なのでしょうが、
企業に対するイメージアップ、ウインテルの閉塞感にうんざりの
ユーザーへの一服の清涼剤的に、昔のTP220のような限定モデルで、
とか考えてしまいます。
今の日本の業界では日立がわりとそういう事をやりそうではありま
すけど、私としてはサポートで苦労したくないというのもあるので
他社に手出しをしないことにしています。